千一夜物語のおはなし
脚本を担当している、今村です。
稽古も順調に進んでおります。
この画像の星の棒は・・・なんでしょう。今回のお芝居には関係ありません。
脚本の修正作業もひと段落しましたので、ちょっと長めのブログを書いてみたいと思います。
今回の舞台「千一夜物語」についてですが。
「アラビアンナイト」のほうがよく聞くタイトルだと思いましたのでサブタイトルにつけてあります。
なかでも
・アラジンと魔法のランプ
・シンドバッドの冒険
・アリ・ババと40人の盗賊
あたりは小さい頃絵本で読んだ方もあるのではないでしょうか。
私も昔にシンドバッドの冒険の絵本を読んだことがあったようで、今回のために改めて読み直したときに絵本の挿絵が思い出されました。
その他にも、アニメのモチーフとしてあちこちで出会っていたようで、ああ、これのことだったのかと思いだすことが多々あります。
千一夜物語というのは、ものすごくざっくりいうと、中東アジア地域の昔話集のようなもので、それをヨーロッパの人が編纂し直したものなのだそうです。 (ものすごくざっくり説明していますので、詳しいことがお知りになりたい方はご自分で調べてください。)
編纂しなおした際に「枠物語」とも呼ぶべきものがくっつけられ、整理整頓されました。 「枠物語」を要約するとこうです。
国王が王妃に裏切らた腹いせに、若い娘を集めては一夜に一人ずつ処刑。
見かねた大臣の娘が国王に昔話を聞かせ、ちょうど話のいいところで朝になるようにした。続きを聞きたい国王は処刑をやめ、次の夜、その次の夜も、大臣の娘を呼び出し、1001夜、話をさせた。
1001夜ってことは、2年と・・・9か月くらい?
大臣の娘が語る物語の中に、アラジンやシンドバッドやアリ・ババがでてくる、という構造になり、今に伝わっています。
なので、みなさんが知っているお話のいくつかは、面白い話をピックアップしたもの、むしろ「枠物語」を省略したもの、ということになります。
お話の数は200を超えています。
そのなかからいくつかピックアップしたものを脚本にしました。
知ってる話、知らない話があると思います。楽しみにしてください。
千一夜物語の解説本はいろいろありますが、
私が読んだ中では「西尾哲夫著 世界の中のアラビアンナイト(NHKブックス)」が読みやすかったので、もっと詳しいことを知りたい方にはお勧めします。
ですが。
私が脚本を書くときに原作そのままをやるか、というと、ほとんどやりません。
上演する時代にあった形、演じる人や見る人に合った形、また私が面白いと思う形に改変させていただいています。
もちろんそこに演出家(今回で言えば飯島さん)の考えが入ってきます。
ですから、あまり原作にとらわれないでいただきたい・・・というのがお願いです。 あくまでも「原作」ですから。
もしもこれからあらためて原作を読むのであれば、登場人物たちがどのような時代を生きていて、どのような価値観で生きていて、どのような生活をしているか、というようなことの参考にしていただく程度でいいと思います。
もう少し付け加えると、
物語にでてくる食べ物、お金の価値。 高級品、他の町や国と貿易をする農作物や工芸品はなにか。
子どもが出てくるお話だと、学校はあるのか、字が読めるのか、どんな遊びをしているのか、などなど。
実際に作品には出て来ないこともありますが、現代の日本で当たり前のことも、話の中では当たり前でないことはいっぱいあります。
そういうのをチェックするのも、原作を読む楽しみの一つではありますね。
実際、日本人の我々からすると中東諸国は未知の国々です。
しかも昔の中東ですから。どの時代に何ていう国がどのあたりをどう支配してたのかなんて世界史を勉強し直してみてもよくわかりません。
もうファンタジーの世界なのではないかと思うほどです。
でも、日本にも妖怪や神様の出てくるお話はいっぱいありますので、魔法や冒険の旅も似たようなもの・・・かな??
新しい物語に触れるときは、新しいことを知り、新しい旅に出るスタートだといつも思います。
おかげさまで日本語しかわからなくても、現地に行けなくても、調べられるだけの資料が現代にはあります。
それらを 片手に、千一夜物語の旅に出たいと思います。
イマムラ